半兵衛

幸福の谷の半兵衛のレビュー・感想・評価

幸福の谷(1919年製作の映画)
3.7
主役と思っていたリリアン・ギッシュの出番が思ったより少なめで、メインドラマは出世のためニューヨークに渡ったロバート・ハロン演じる青年と彼を心配する両親との葛藤を描いたドラマだったけれどこれはこれで味わい深かったし、故郷から東京にわたった私にとって親子のドラマは他人事に思えず親身になって鑑賞してしまった。

ハロンと彼に恋するリリアン・ギッシュが同じ鍬を持ったときお互いの手が徐々に近づくことで二人の関係性を示したり、未熟な青年が成長する様をオモチャのカエルを完成させることで表現したり、階段を使って後半での親子のドラマを盛り上げたりと所々で披露されるグリフィス監督の冴えた演出が豊かな表現をもたらしており単純なドラマにしていない。

それでも大元は遠い町で働く男と彼との約束を信じて待つ女の子という古くさいメロドラマだし、ギッシュの甲斐甲斐しさもあまりにも古風なので新鮮味が無いのも事実。ラストのオチも予想通りだし…。

男が好きそうな少女像を演じるギッシュはあざといが、男の夢を現実化するとそうなるのでしょうがない。そしてあのキスをやられたらどんな男でもイチコロのはず。
半兵衛

半兵衛