ほーりー

ポセイドン・アドベンチャーのほーりーのレビュー・感想・評価

4.9
1970年代のハリウッドでは数多くのパニック映画が作られたが、この映画ほど、多くの支持をうけた映画は他にないと思う。

淀川先生に「私はこの映画を見るために生まれてきた」と言わしめ、談志師匠に「こういう映画を若い連中に見せろよ!!」と歓喜させ、町山智浩さんが「これを見なければ、映画評論家になっていなかった」というぐらい熱狂させたのが、この「ポセイドン・アドベンチャー」である。

大晦日の晩、突如発生した巨大津波によって転覆した豪華客船ポセイドン号。
僅かに生き残った乗客たちは、生きる望みを胸に秘め、船底に向かって上へ上と進む。

何といっても、転覆して上下逆転した船内というシチュエーションが秀逸であるが、本作は人間ドラマとしても第一級品の内容である。

自分たちで道を切り開かないといけない、しかもその道が本当に正しいとも限らず、その道が行き止まりになっている可能性だってある。

それでも上へ上へと進まなければいけない。このシビアさが本作がいまだに愛される大きな理由だと思う。

さらに登場人物の多彩さが素晴らしく、オールスターキャスト映画としても大成功している。

ジーン・ハックマン、アーネスト・ボーグナイン、レッド・バトンズ、シェリー・ウィンタース、キャロル・リンレイ、ロディ・マクドウォール、ステラ・スティーヴンス、ジャック・アルバートソン、パメラ・スー・マーティン、アーサー・オコンネル、レスリー・ニールセン…いずれも人物造形が素晴らしい。

生きる力が沸々と心の奥底から込み上げてくるような大傑作である。
ほーりー

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