鈴渚

愛の残像の鈴渚のレビュー・感想・評価

愛の残像(2008年製作の映画)
4.0
「愛してると言わないで、愛を語らないで」失って初めて気づく本当の気持ち。退屈な日常に戻りたくないから、あえて傷つけ傷つけられて…ワイパーの法則。
フランソワが猫を抱いて鏡を見つめる。「ほら、これがお前だよ」と猫に語りかける。このシーンだけを考えると、鏡の中のキャロルはフランソワ自身だと考えられるけど、ラストでまたその確信も揺らいでしまう。カメラマンであるフランソワは常に見る側の人間だったが、自分自身を見つめた時混乱する。その混乱が後半随所で見られる。あとから考えると
①女優という見られる対象でありながら、カメラを向けられることに拒絶反応を示すキャロル
②カメラマンとして見る側の存在であったが、自分自身を見つめることになったフランソワ
③見られる対象であることを受け入れ、その立場を使ってフランソワをつなぎとめるエヴァ

たった1人の片割れを見つけるまでの道のりは苦しい。「origin of love」を思い出す。
鈴渚

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