バンバンビガロ

鳥のバンバンビガロのレビュー・感想・評価

(1963年製作の映画)
3.9
動物パニック映画の始祖ともいわれるような高名な作品なのだけれどかなり特異な作品であることは否めない。
序盤は普通の映画として始めり、いわゆるメロドラマ的な主人公2人の恋愛関係の発展を軸に母親との微妙な確執、元恋人のとの関係などのいくつかのストーリーラインが示唆されてる。しかしながらひとたび鳥の襲撃が始まるや否や映画全体がそれに飲み込まれてそれまでのプロットは蹂躙されほとんど打ち捨てられてしまう。元恋人はついばまれて死亡、母親は恐怖におびえ泣き叫び、主人公のメラニーも最終的に鳥に襲われた末に精神を失調して映画が終わりを迎える。
なぜこのような事態が起こったのか、主人公たちはその後どうなるのか一切の説明は与えられず見終わった後に残るのは鳥の襲撃によって破壊された物語の残骸だけである。この映画ではある意味で妥当な物語性を放棄することによってそれどころではない恐怖と混乱を描いており、その演出の大胆さと徹底ぶりこそが後続の多くの動物パニック映画と一線を画すところかもしれない。
バンバンビガロ

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