ヒッチコックの数多くある作品の中でも最もシンプルにして最も恐怖を感じる映画なのではないか、と思います。
鳥が、ただ、群れて、理由もなく、人間を襲ってくる、それだけの映画です。それだけなのに怖いんです。まあ理由もないのに、というのが恐怖を増幅させているような感じはしますが、はっきり言って襲われている時は単純に恐怖でしょう。
別に鳥が嫌いとかないですし、むしろ好きですけど、でもキーキー鳴き声をあげながら、時には見えない壁の向こう側から聞こえたりして、時には静かに傍観し、突然牙を…もとい、嘴をむく。よく見たら正直ハトとか目イッちゃってますからね(笑)それも日常にいるものが突然というのは元祖動物パニック映画にして殿堂入りですね。
やはりラストの家を出た絶望感は半端ないですし、ジャングルジムに少しずつ集う恐怖感とかレストランでの人間模様とかはヒッチコックの上手さを感じますが、何より怖いのは鳥の脅威がいつ終わるのか。そしてその後の鳥の糞がどうなるのか…(笑)