津軽系こけし

菊次郎の夏の津軽系こけしのレビュー・感想・評価

菊次郎の夏(1999年製作の映画)
4.5
立入禁止を飛び越えて


夏だなぁ…久石譲だなぁ…。孤独と滑稽、北野武氏の”ビート”ぶりにほっこりと感性をくすぐられる。
ルールや道徳にあっかんべーを続けて、2人の旅路はどんどん馬鹿らしくなってゆく。孤独を埋めるための型破り極まる思い出づくりは、不器用さと相生することでノスタルジー的な情緒を生む。さらにそこへ、ノスタルジーの達人久石譲氏の作曲が関わるのだから、手の施しようがない無敵である。

雑多な股間隠しや、大袈裟なモーション、とっくみあいなど、ビートたけしのコメディ性が全面に投影されているのも印象に残る。その滑稽は、絶妙な外連味があるからこそ輝く。チープも見せ方次第で花になる。

それにしても、あのハゲとデブはいくらなんでも親切すぎるのではないだろうか。
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