おばあちゃんと二人暮らしの少年・正男は、夏休みを利用して遠くに出稼ぎに出ているというお母さんの元に会いに行くことにする。
一人で出歩いていると早速中学生の不良に絡まれお金を盗られそうになるが、そこに通りかかった知り合いのおばさん（岸本加代子）とその夫・菊次郎（ビートたけし）に助けられ、成り行きで菊次郎と正男は二人でお母さんの元へ旅に出ることになる……というお話。
テキトーの極みのようなおっさん菊次郎と正男少年のロードムービーで、様々な場所で迷惑をかけながら少しずつ目的地に向かう様を描いている。
全体的にギャグに振り切っていて、色んなロケーションで終始ふざけて傍若無人な振る舞いをするたけしの姿はショートコントをやってるみたいにも見える。特に後半、グレート義太夫と井手らっきょの二人が演じるバイカーのおじさんとダラダラと遊び続けるシークエンスなんかは、二人をいじめて楽しんでるたけしの感じとか編集の感じも含めてバラエティ番組の一コーナーみたいな雰囲気で、映画っぽくなくてちょっと違和感があった。ハートフルな方向にしようと思ったら出来たはずだが、あえてふざける方面に舵を切ったのはたけしの芸人魂がそうさせたのか、照れ隠しでわざとフォームを崩しているのか。どちらにせよどこか突き抜け切れていないところがあり、中途半端な印象を持ってしまったかも。
とは言え、たけしがめちゃくちゃやってるだけで面白いというところがあり、若い頃のギラついた面影を残しつつ、破天荒だが芯は優しい菊次郎という男を恐らくほぼ素に近い状態で演じており、かなりハマり役。やっぱり金髪になる前のたけしはどんなにふざけていても得も言われぬ色気が漂っていて格好いい。
(2022.178)
