生まれてすぐ離れ離れになった母を追いかけてゆく、ひと夏の旅路。やさしい人たちとの出会いと受け入れがたい現実を、涼しげであたたかな久石譲の音楽が包み込む。
日本の夏は、こんなにも美しかっただろうか。金色に畑はざわめき、風で稲穂が揺れ、日差しの強い道を永遠と歩く。そのうち、知らないおじちゃんやお姉ちゃんからどうしたの、と声を掛けられる。小さなことで文句を垂れる人はおらず、無駄なケンカはせず、少々のことには目を瞑る。どんな人も等しくやさしい夏の時間が、ここにはある。
大人ってよくわからないかもしれないけれど、強く生きろよ!少年。これが少年まさおの夏ではなく、おじさん菊次郎の夏だからまたいいんだよなぁ。