MiYA

二百三高地のMiYAのレビュー・感想・評価

二百三高地(1980年製作の映画)
3.5
ロシア戦争における旅順攻略戦が徹底して描かれる本作。旅順港閉塞作戦や日本海海戦がナレーションだけでさらりと流されるのには拍子抜けしますが、別に「坂の上の雲」を映像化したわけではないので、これはこれでよしとします。

この映画が優れているところは、児玉源太郎や乃木希典といった指導者の姿と、戦場で命を散らせていく無名の前線兵士の両方を描いているところでしょう。児玉や乃木の苦悩もそれなりに描かれますが、捨て駒のようにバタバタと斃れていく兵士の姿と「第○師団全滅」という文字の前では、すべてが虚しい。

これが戦争の現実か、戦争はいかに人の命を軽く扱うのか、まざまざと知らされます。ただ、ろくに弾の入っていない銃剣を持って大砲と機関銃の前に突撃していく歩兵たちの姿、さすがに現代のハイテク戦争では見られない姿でしょうし、いまこの国が戦争に突入したとしても、また違った戦場風景となるのでしょうね。
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