Maoryu002

山河遥かなりのMaoryu002のレビュー・感想・評価

山河遥かなり(1947年製作の映画)
3.9
アウシュビッツで母親と生き別れ、記憶も言葉も失った少年カレル(イワン・ヤンドル)が、終戦後に放浪しているところをアメリカ兵スティーヴ(モンゴメリー・クリフト)に拾われる。2人は交流を重ねるが、ある日、カレルは母親を思い出す。その頃、カレルの母親は当てもなく息子探しを続けていた。

「真昼の決闘」「地上より永遠に」「ジュリア」のフレッド・ジンネマン監督の出世作。

戦争によって孤児となった子供たちを追う序盤は、ナレーションとともにドキュメンタリーを見ているようだった。
ミシェル・アザナヴィシウス監督の「あの日の声を探して」は本作が元ネタだけど、確かに敵兵士の変貌を映す部分以外は構成がそっくりだ。

特にこの映画は、敗戦後のドイツ内での撮影ということで、廃墟となった街も非常にリアリティがある。
「ライフ・イズ・ビューティフル」を思い出させるラストは、涙なしには観られない。

今も昔も、戦争の中で育った子供たちは、抑圧と飢えと恐怖が生活そのものになってしまうんだなー、と悲しくなる。
その姿を見れば、どんな理由があっても戦争なんかしちゃいけないって思うはずだ。
Maoryu002

Maoryu002