書庫番

西鶴一代女の書庫番のレビュー・感想・評価

西鶴一代女(1952年製作の映画)
4.2
2019年1月2日 レンタルDVDにて鑑賞。

井原西鶴の浮世草子『好色一代女』を原作に、依田義賢が脚色し、溝口健二が映像化。
主人公・お春の悲運且つ悲惨過ぎる一生を描いた作品。

主人公・お春の転落人生に関わる人間は、父親を始めとして自分勝手で欲深き男達と嫉妬に駆られた醜き女達で、つまりは全員屑ばかり。
さればこそ、勝之介(演:三船敏郎)や扇屋弥吉(演:宇野重吉)との悲恋がクッキリと浮かび上がる。
最後まで人間が持つ醜い悪意と身勝手さに翻弄されたお春の不憫さに胸を抉られる。

作品全体で見た時のシーンの短さ(に伴うブツ切り感)がどうにも気になるが、溝口健二が得意とする長回しやカメラワークは流石と思う。
薄幸のお春を演じた田中絹代の円熟した演技力は圧巻。
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