多人種が行き交うニューヨークにてヒッピー精神を拗らせている青年が、自己のキャパシティを超えた体験を強いられてしまう。ロバート・クラムによる同名アングラ・コミックを映像化している、アニメーション作品。登場人物が動物キャラで描かれている。
主人公の猫は、60~70年代のカウンター・カルチャーを原体験にしている、スノッブな青年として登場。人間の真理を探るためのセックス、自己を変革させるためのサイケデリック体験、自由を手に入れるための反体制運動など、ヒッピー特有の言動が描写される。
本作自体が従来のアニメーション作品に対するカウンターであることは自明の理。全編が「子供に見せてはいけないモノ」だけで構成されており、直線を排した手描き映像が、アメリカン・ドリームの暗部に迷い込んだような錯覚を与えてくる。
「世直し」を期待する若者たちの煮えたぎるエネルギーが、ある種のトランス状態となり、アッパー&ダウナーの渦を巻き起こしているような感覚。若松孝二監督の全共闘映画、70年安保直後のシラケ映画との重複が興味深い。