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深夜の告白のchichichiのレビュー・感想・評価

深夜の告白(1944年製作の映画)
4.2
「情婦」を観てからビリー・ワイルダーのファンになり次はなにを観ようかと迷ってこの作品にしました。

やっぱり、ビリー・ワイルダーに外れはありませんでした。

1944年の保険金殺人を話題にした先駆的な作品ということです。
戦争中にこんな作品が作られただけでも驚きでした。

タイトルの原題が意味する「倍額保障特約」とは、もし交通機関(汽車)での事故での負傷だった場合、倍額が保障されるというものだそうです。


ストーリーは、事件の首謀者ネフが一連の真相を告白するところからはじまり、物語は回想しながらネフの種明かしのナレーションがはいる展開をとっています。

※この告白を録音している録音機が最初何か分からなかったのですが蝋管式録音機と言う事だそうです。


若い後妻フィリスから保険金殺人を持ち掛けられた保険外交員ネフ。
最初はそんな見透かされる保険金殺人なんて受けられるわけがないと当然断るのですが彼女に魅了されやがて二人は恋に落ち彼女の夫のディートリクソンの殺害計画へ走り出してしまうのです。

ネフの会社の上司にあたる保険調査員のキーズとの関係がとてもよくこの作品のキーになってます。
葉巻にネフはいつも火を付けてあげるのですが彼とは仕事で互いに認めあっていて尊敬し信頼し友情を感じている強い絆が感じられます。
だから彼は冒頭で会社に戻り告白をしたのでしょう。

やがて、ディートリクソンの先妻の娘ローラとその恋人ニノを絡ませ愛憎と欲望が渦巻く展開に入っていきます。

もう、こうなってくるとなにがどうなっていくの?って感じ。

フィリスは夫だけでなく義理の娘ローラの殺害も計画しいて最悪の悪女なのにネフと逢うときの憂いに満ちた瞳はとても素敵な女性で魅惑的なんです。

いったい、フィリスは、なにを考えているの???



以下ネタバレがあります



♪───O(≧∇≦)O────♪



サスペンス的にも列車の展望デッキでの展開やネフの部屋に向かうフィリスとたまたま彼の部屋に訪れたギースとのニアミス等のドキドキは手に汗を握りました。

今観ると、指紋や外傷の問題等のツッコミではあるのですが…(笑)


歯車が狂い始める殺人計画…
美しく危険な香りのするフィリス…
追い詰められていく主人公ネフ…
いずれも見応えがあり、スリリングな展開に引き込まれていきました。

途中、ネフとキーズとの関係に触れましたがラストのそれはまるで愛の告白のようです。

キーズの胸に抱かれて彼の最期の一服は、キーズが初めてネフに火を付けてあげるのです。

このラストシーンは、二人の友情の絆の様に感じられ感動的でとても切なかった。


「起承転結」ではなく、「結起承転」な映画でしたが、結末が分かっていても脚本がまず面白いからそんな心配は無用です。


またしても、ビリー・ワイルダーってすごいです!

次は、「アパートの鍵貸します」にしようかな。
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