このレビューはネタバレを含みます
保険金殺人を企む男女の話。
怪しげな美女(ファム・ファタール)によって破滅していく男…という意味では、実にフィルム・ノワールな本作。
実際、フィルム・ノワールの初期代表作であり、(犯人が最初から分かっている)倒叙ミステリーの雛形にもなったんだとか。
正直、物語自体はシンプルな犯罪サスペンスといった感じで、特に驚きはなかったです。
『ユージュアル・サスペクツ』に影響を与えた作品という事で、最後にどんでん返しがあるのかと思いきや、そこまでサプライズ的な要素はないし、犯人の回想という物語形式に影響を受けたのでしょうか。
前半の完全犯罪が成功するかどうかのドキドキから、後半は犯罪がバレるかバレないかのドキドキへと、視点が変わっていく構成は面白かったし、緊張感が高まる場面で一々邪魔者(アクシデント)を登場させる演出も印象的。
非常にやきもきさせられると言いますか、ハラハラさせられて、サスペンスを高めていた様に思います。
今見ると特に新鮮味を感じないというのは、それだけ本作が後続作品に模倣され、スタンダートになってしまったという事なのでしょう。
そして、スタンダートな作品だからこそ、この物語形式の面白さ…犯罪がバレるか?バレないか?というサスペンスを存分に味わえるはず。
映画好きなら基礎教養として、見ておいて損のない作品ですね。