ちろる

深夜の告白のちろるのレビュー・感想・評価

深夜の告白(1944年製作の映画)
3.8
ようやく観れたビリーワイルダーの名作サスペンス。
古すぎて映像が不明瞭ではあるけれど、内容はビリーワイルダーらしく良くできたプロットです。
事件の犯人である主人公の告白から始まるというタイトル通りの展開に驚きつつも、戦略と推理の戦いのせめぎ合いをしっかりと見せる練られたプロットのお陰で、ラストまで主人公の真意が明かされないようになっているのは流石でした。
保険金殺人を計画する保険屋ネフと、クライアントの後妻フィリスの完全犯罪ですが、このネフとフィリスがものすごく悪人でも、良い人間でもない、普通の小心者の人間だったという点で元々この計画に綻びが生じるのは容易に予想はできる。
しかしそこよりも何よりあんなにいとも簡単に恋に落ちてしまうような大人の男と女の方が問題あるのではないか?
というか元々2人に愛が生まれていたのか否か?そこが一番のミステリーなのかもしれません。
ラブストーリーをちょいと絡ませといて全く愛の「あ」の字も感じない。
どちらかというと事件を調査することになるネフの同僚ギースの鋭い洞察力と信頼ゆえの信じる力のどちらがネフを追い詰めるのか?
という男と男の友情がメインとなる後半の展開が好きでした。
複雑な展開のサスペンスと見せかけて、ラストはどっしりとヒューマンドラマも描くビリー ワイルダーの手腕が光る作品でした。
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