LalaーMukuーMerry

告発のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

告発(1995年製作の映画)
4.4
アルカトラズ刑務所が舞台の映画は、私にとって「アルカトラズからの脱出」「ザ・ロック」に続いて3作目、原題は ” Murder in the First " (第1級殺人)。これも名作だった。
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時代は第2次世界大戦の頃の1941年、アルカトラズ刑務所の囚人ヘンリー・ヤング(=ケヴィン・ベーコン)の刑務所内殺人事件の裁判を扱った物語。刑務所で彼に対して行われた虐待の実態を明るみに出し、彼を救うために戦ったスタンフィル弁護士(=クリスチャン・スレーター)の物語でもある。
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これが実話か! ヘンリーの人生、彼の悲痛な叫びに胸をえぐられるよう(ケヴィン・ベーコンの演技が素晴らしい)。
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「実話に基づく」という言葉は、どの程度まで事実に忠実かという点でとても曖昧な表現だ。かなり事実に変更を加えたものでも同じ表現が使われたりする。一つ一つの会話は創作でも、話の背景や人物相関、ストーリーの展開や結果などは、事実通りだと映画を見た人は普通受け取るもの。でもこの作品は、どうやら事実とは明らかに違う部分が結構あるようだ。だから、何も知らず全て実話と信じて感動した私としては、後でネットで調べてちょっとがっかりしたのも事実。(感動をこわすといけないから具体的には書きませんけど…)
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でも、刑務所の社会的役割が、重罪を犯した人間を社会から一時的に隔離することだけではなく、「更生」でもあることを考えると、囚人に対するあまりにもひどい扱いは改めるべきということが、作品にこめられたメッセージと受けとめれば、看板に偽りありと非難する気持ちも和らぐかもしれない。
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アルカトラズとは対照的な、「更生」重視の刑務所がノルウェーの刑務所です。興味ある人は「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」のノルウェー部分を見るのが良いです。私には目から鱗でした。日本の刑務所はどうなっているのでしょう?