モールス

告発のモールスのレビュー・感想・評価

告発(1995年製作の映画)
4.0
難攻不落、脱走不可能のアルカトラズ刑務所で起きた囚人虐待事件を題材にした作品です。虐待をめぐっての法廷劇で、この分野ハリウッドの十八番とも言えるでしょう。
キャストに演技派を揃えていて、演出の見事さは素晴らしかったと思います。脱走に失敗して、懲罰として3年の長き間光の射さない独房に監禁された主人公をケビン・ベーコンが。その主人公を徹底的に虐待したアルカトラズ刑務所副所長をゲーリー・オールドマンが。主人公の国選弁護人で、虐待の事実について司法と戦った弁護士をクリスチャン・スレーターが演じました。
とにかくケビン・ベーコンの演技力は本作を観れば、誰もが認めるところだと思います。「スリーパーズ」で見せた看守としての虐待ぶりも凄かったですが、本作の虐待を受ける側としての演技も見事でありました。この役者さんのオールマイティぶりには、感心するばかりです。虐待を受ける恐怖という感情がよく伝わりましたし、人間の尊厳を奪われた成れの果ての姿は痛々しく思いました。
ゲイリー・オールドマンのキレキャラぶり見事です。その表情を見ただけで、内面の狂気が伝わります。
クリスチャン・スレーターも役にハマってましたね。演技派なんですが、どこかクセのない俳優だと感じてました。そのクセの無さが、正義感溢れる若者としての役にはマッチしてました。

ストーリーは刑務所内で殺人事件を起こした被告の弁護人が、逆に刑務所を告発する衝撃的なものです。
ケビン・ベーコン演じた被告の罪は、たった5ドルを盗んだ窃盗罪。それも幼い妹を食わさなければいけない窮地に陥った上での盗みでした…。
理不尽極まりないのでトラウマになるかもしれない作品です。でも主人公が人間の尊厳を取り戻すまでの一部始終は見る価値があるものだと思います。
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