だいごろー

独立機関銃隊未だ射撃中のだいごろーのレビュー・感想・評価

独立機関銃隊未だ射撃中(1963年製作の映画)
4.8
@ラピュタ阿佐ヶ谷


戦争映画の傑作。
トーチカ(コンクリートに囲まれた半地下の防御陣地)を舞台に、敵兵と闘い散っていった5人の日本兵の話。
トーチカという密室で繰り広げられるワンシチュエーションという設定を最大限に生かした人間模様、会話劇、息も詰まるような緊張感、徐々に相手に追い詰められていく逃げ場のない絶望感など、見事。

後半、追い詰められていく中で佐藤允が心情を吐露するシーン。苦労をかけた奥さんを絶対に幸せにしたい。戦場でこんなに苦しい経験をした今なら、なんでもできるような気がすると涙ながらに語るシーンは胸が締め付けられる。

本物の機関銃を使用した射撃シーンは迫力があるし、リアル志向の作りになっている。よって、そこには映画的なカタルシスやヒロイズムは徹底的に排除されている。誰もが死にたくないのに闘い、最後は肉片になって散っていく。
敵を視察してる際に、双眼鏡で見つけて心奪われた綺麗な花。その花さえも、砲弾によって爆破されるラストが印象的。