愚連隊シリーズの番外編的作品・・だが全く異なる作風のソリッドな密室劇。
マルキの3(←トーチカの“住所”ね)の五人のキャラクターのコントラストと、トーチカ内に響く機関銃や外からの爆撃、またそれに伴って飛び込んでくる砂礫、そして投降を促すアナウンスといった「音」と、小さな穴から入り込む「光」が物語をしっかりと形作る。
のどかささえ漂う導入からの、さりげなくだが確実にスイッチが入った中盤以降のシリアスな展開、そして終盤の「どうして三人で~!」「俺も行きたいんだがなぁ、行けないんだよ」等に象徴される行き止まりの絶望ややるせなさと、限られたシーンとシチュエーションの作品ながらも全く集中と緊張が途切れない。
演者はみな特徴的だが、中でも太刀川寛のナイーブさと、愚連隊の諸作では観られない佐藤允の涙が出色。