ユニバーサル映画の100周年を記念して製作された、様々な文脈で映画の歴史に残るであろうSF大作。
G.I.ジョーやトランスフォーマー等の超有名ブランドを持つ玩具メーカー、ハズブロ社のボードゲームが原作。
ボードゲームが? 原作? というところから突っ込みたくなるけれど…
大きな物語としては、強大な科学力と兵器を備えた異星人の襲来に立ち向かう地球人達というところだが、異星人の謎のテクノロジーによって出現した強力なバリアにより、その戦闘の舞台がハワイ周辺の海上に限定される。
なぜそうなるのかと突っ込むのは野暮だ、ボードゲームのボードの広さには限りがあるからだ。
なので、地球人側も全世界から駆けつけての総力戦というわけにはいかず、たまたまその時ハワイ周辺で共同演習をしていた米国の海軍と日本の海上自衛隊が、孤立無援な状況で異星人に立ち向かうことになる。
なぜそうなるのかと突っ込むのは野暮だ、ボードゲームで使う駒の数には限りがあるからだ。
映画全篇を通して、画づくりの規模や品質は最大・最高レベルでありながらも、重くなり過ぎず、むしろ軽いタッチだなと感じる演出が多いのは、やはりボードゲームが原作なこともあって、主に子どもが夢中になる海戦ごっこの実写化だからということなのだろう。
ただ、映画中盤において、浅野忠信が演じる海上自衛隊一等海佐がリードする夜の攻防戦があるのだが、海佐が示す戦法とその実際的な描かれ方がとても面白く、確かにこれは自分も子どもの時に友人と夢中になった海戦ゲームそのものだ! と思い出し、ニコニコしてしまった。
終盤においては、伝説的といってもいいであろう米国の実在の超弩級戦艦ミズーリが登場し、とんでもない展開がある。
きっと米国人にとってのミズーリは、日本人にとっての戦艦大和のような存在なのだろうと想像すると同時に、この映画はSFを遥かに通り越して最早ファンタジーの域に到達しているものなのだから、リアリティがどうこうと突っ込むのは野暮なことだなと感じた。
眉をひそめて批判的な態度で観るよりも、アホ過ぎるけれどめちゃくちゃ決まっている主人公の名台詞や、そんなわけあるかと感じつつも少年漫画さながらに激熱な戦艦の活躍を、頭からっぽで楽しめるといいのだろう。
映画史の一角に確実な存在感と偉大な名を残すユニバーサルの100周年記念作品が、本当にこの映画で良かったのか、途中で誰も止めなかったのかというところが最大の突っ込みどころだけれど、その限りないアホさと派手さが醸し出す唯一無二の祝祭感という意味では、間違いなく記念碑的作品になっているといえるだろう。
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