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バトルシップのkigumaのレビュー・感想・評価

バトルシップ(2012年製作の映画)
5.0
-カメ止めのような映画の魔法-

興味がなかったけど、テレビ放送のたびに驚異的視聴率を取るカルト作品と聞いて初鑑賞。見終わった素直な感想は「アツアツ」としか言いようがない。素晴らしい。

まず出だしの80年代前半青春映画のようななるーいテンポに驚く。正直その時点で視聴を止めようと思ったのだけど、エイリアン・シップが登場してからが作品のテンポがニトロをぶち込んだようにフルスロットル。終劇まで迷いないベタ踏み。

映画を見ていてビーコンのシーンではじめてハズブロのボードゲームが題材だと分かって大笑いしたけど、この映画が凄いのはそんな荒唐無稽な題材を映画のマジックでここまで洗練させてエンタメとして成立させたところ。

■キャラが立ちまくり
リメイク版ヤマトもそうだけど、モダンなアクション映画に登場する女性はお飾りではなく強く魅力的。全てのキャラになんらかの伏線があり、それが後半見事に回収される気持ちよさは(順番が逆だけど)カメラを止めるな、に通じるものがある

■映像の魔力は全てをねじ伏せる
矛盾点や突っ込み処が山盛りの本作なんだけど、キャラが立って、カット割りがスピーディーで、過剰とも思える特殊効果のオンパレードだと強引に全て納得させてしまう。ここで大切なのは、基本プロットがB級だからこ、特S級の映画の魔法で傑作になった事。

■インディペンスデイと比べて
インディペンスデイが苦手なところは、侵略者なのに「国家」と「国民」というテーマが目障りな点。この作品が爽やかなのは、自立、独立、フロンティアスピリットというアメリカの開拓者精神が普遍的だから。頭の悪いスタートレックと言ってもいい

■シンゴジラと比べて
この作品は怪獣映画の文法で作られていると思うけど、シンゴジラとバトルシップは日米の国民性の違いをとてもよく現していると思う。人間という存在を歯牙にもかけない自然そのもののゴジラと、退役戦艦と人力で運ぶ40cm砲弾で宇宙人に対抗するバトルシップ。どっちもぶれてない

■浅野忠信
英語版で見たけど、日本語吹き替えの時の浅野忠信の台詞はどうなっているんだろう?英語と日本語の入り交じった台詞の吹き替え気になる。canpuは大笑いしたけど素晴らしい演技

■そして配給
調べて驚いたのは日本では評価が高い本作もアメリカでは大ゴケ。どうりでトランプが大統領になるわけだ。アメリカ人から見たアメリカの理想ではなく他国の人間が見た古き良きアメリカなんだと思う

■最後に
リーアム・ニーソンの娘に手を出すと、たいてい死体の山が築かれ、宇宙人が攻めてくるお約束
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