エクストリームマン

ヘルレイザー2のエクストリームマンのレビュー・感想・評価

ヘルレイザー2(1988年製作の映画)
3.8
Now all we need... is skin.

闇のパズルゲーム映画第2弾。闇のゲームの負けた方の罰ゲームのみでできているような内容。前作の主人公カースティ(アシュレイ・ローレンス)は、辛くもセノバイトたちから逃れて現実世界へ帰還したものの、極限の恐怖体験と父を喪ったことが原因で精神を病んでいる……と思われても仕方ないような様子。そんな中、彼女の入院させられている病院の医院長:フィリップ・チャナード博士(ケネス・クランハム)は、かねてより研究していたルマルシャンの箱に繋がる手がかりを得て、自身の患者を生贄に、人喰マットレスと化したジュリア(クレア・ヒギンズ)を復活させる。そしてまたまた自身の患者であるティファニー(イモゲン・ボアマン)にパズルを解かせ、門を開いた。闇の迷宮の神によって翻弄される少女2人と、欲望に従って迷宮を進むジュリアと医院長。

面白いのは、セノバイトたちも変身後の医院長も、アノ世界を支配する力を持ってはいるものの、決して万能ではないといところ。セノバイトたちは積極的にカースティをどうこうしようって気もないし、かつて自分たちが人間だったことすら覚えていないという、ある意味でパズルに囚われた者でしかないことが本作で明らかになる。また、医院長の方も、パズルの神の代理みたいな怪物になるけど、ジュリアのスキンを被ったカースティに気が付かなかったりして、万能と程遠い。いや、なんで気が付かないんだよと思うけど、要するに悪徳に囚われた者達は表面=スキンしか見えていないということなのだろう。フランクもジュリアも全身の皮膚を剥がされた状態で地獄につながれていて、皮膚を欲しているのも、皮膚を取り戻すことが、即ち自分自身を取り戻すことと同義ということだろう。彼らの魂はスキンなのだ。

前作では「人の欲望」とそれを裁くセノバイトたち、という構図だったけど、本作でジュリアや医院長に欲望される対象は、最初からパズル世界そのもので、だからこそセノバイトたちは活躍のしようがなかったのかもしれない。そういう意味で、途中で出てくるフランクが、地獄に堕とされて尚現世的な欲望に忠実で、あっちの方が実は普通なんじゃないかとも思った。