たく

東京流れ者のたくのレビュー・感想・評価

東京流れ者(1966年製作の映画)
3.5
ヤクザから足を洗おうとする真摯な親分に義理立てする子分の話で、やけにパステルカラーが多用されるのが昔のハリウッド映画みたくて主人公の中庸な心を象徴してるんだと思った。一本気な男に惚れる慎ましい女性を演じる松原智恵子がハマってて、まあ今の時代からは考えられないおとぎ話みたいな男女観。背景がシンプルになる終盤で二人がまるで結婚式みたく白装束になっちゃうのがプラトニックラブとハードボイルドの強引な共存だった。
車のスクラップを丁寧に見せて行くシーンは使い物にならない人間を処分していく象徴みたいで怖かったね。

鈴木清純は少ししか観てないんだけど、女性のエロい撮り方が記憶に残ってる。郷鍈治のちょい悪な脇役は「伊豆の踊子」で吉永小百合をかどわかす不穏な役を思い出すとともに、ちあきなおみの引退のきっかけとなった若死が思い出されて複雑。
渡哲也はこれまた吉永小百合と共演した「生と死の記録」が印象的で、「伊豆の踊子」と共に彼女のベスト作品だと思う‥という関係ない話。
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