ブタブタ

東京流れ者のブタブタのレビュー・感想・評価

東京流れ者(1966年製作の映画)
4.0
ウェンディング・レフン、タランティーノにも多大なる影響を与えた鈴木清順・監督作の中でも特におかしい(笑)前衛ハードボイルド・アクション・カルト・ムービー。
ヤクザから足を洗いカタギとして生きるも世話になった親分の窮状にふたたび任侠の世界に戻る不死鳥の哲(渡哲也)
話はよくある昔ながらの任侠ヤクザ物ながら異空間みたいなセットの数々、異様なアクション・演出によって明らかにおかしなシュールな世界が展開されます。

不動産会社の一面壁画の事務所といつもマンガ雑誌を見て狂った様に爆笑している秘書。
紫の照明のゴーゴークラブとその二階のヤクザ事務所はショッカーの秘密基地みたいに安っぽくそれでいて変な仕掛けがある。
悪者達の会合の場所はラベンダー色の照明の、まるでウルトラセブンに出て来る宇宙人の円盤の内部の様。
そしてクライマックスの舞台にもなるナイトクラブは広い空間にピアノやバーカウンターがあるだけのだだっ広い非現実的アート空間。
その他床壁天井まで真っ黄色だったり、ガンアクションに合わせてバックの照明が赤や白に切り替わったり、何よりおかしいのは不死鳥の哲が登場する時必ず流れるテーマ曲『東京流れ者』
これはBGMやイメージ的なものでなく敵のヤクザが曲を聞いて「不死鳥の哲が来た!」と言ってるので劇中本当に流れている。
けばけばしいネオン街を特撮物に出てくるみたいな派手なクルマが走ってく様はまるでブレードランナー。
不死鳥の哲が持つ銃ワルサーの射程距離は10メートルしかない(なぜ?)ので必ず相手の10メートル前まで近づかなくてはならない。
そして何故か10メートル地点には赤い下駄やら赤い線が引いてあったりしてそこまで行って敵を撃つ。
この辺りの無意味なゲーム的アクション。
ラストの遮蔽物が殆どない広い空間での銃撃戦はもはやシュールの極みで観念的アクションとも評されてますが、銃を床にシャーッと投げて敵がみんなそっちを見てる隙に突撃して撃つとか、冒頭の真っ暗な空間の真ん中で棒立ちのまま周りの敵を全員倒すとか、これって『リベリオン』の「ガン・カタ」でやってましたし確実に影響与えてますね。
ヒロインちーちゃんの若い頃の松原智恵子さんがキレイかつ可愛い。
この頃の日活や東映のスター女優さんてアニメに出てくる美少女みたいです。
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