滝和也

東京流れ者の滝和也のレビュー・感想・評価

東京流れ者(1966年製作の映画)
4.0
渡哲也初主演作にして
清順美学が炸裂する
日活ニューアクション!

主題歌を思わず口ずさむ(^^)

「東京流れ者」

白と黒のギラギラしたモノクロームのオープニングから一転、各所に配された原色と不思議かつ印象的な謎の構図に驚かされる正に清順美学が発揮された傑作ですね。

「わけのわからんものを撮る」と日活をこの後、解雇される天才、鈴木清順。その独自の世界観はヌーヴェルヴァーグに影響され、そして今またニコラス・ウェディング・レフンら新進監督に影響を与えています。この日活社長の言葉は昔から知っていて、今まで避けてきたのですが、先日の大ファンでもある渡哲也さんの姿を写真で見て、見る事にしました(^^)

今の時代でこれを見ると、それ程訳がわからない作品では無いですよね。兎に角個性的な構図や見せるはずのシーンをすっ飛ばすような刹那的なカット割と編集、そして大胆な色彩を活かした撮影。後の作品に影響を与えている故に今見れば素直に受け入れられる。ストーリーもきざ過ぎるハードボイルド調のアウトローストーリー。日活無国籍アクションに入れてもおかしくは無い(^^)

原色、心情に合わせ赤、黄、青と配し、更にライティングで見せていく演出。白一色の中に配される赤が美しいラストアクションが圧倒されますよ。

主人公不死蝶のテツを演じる渡哲也さんはこれが初主演。若いですよ〜。クールかつ熱い二面性を持つ主人公をスタイリッシュに演じています。西部警察の団長のファンでしたから、ヤンチャなイメージの役は新鮮過ぎました(^^)ヒロインには松原智恵子さん。美しく儚げなイメージが似合いますが、やや古いタイプでヌーヴェルヴァーグのヒロインには及ばないものの、美しさは抜群でした(^^)

渡哲也の正に助っ人としてダンプガイの異名を持つ裕次郎作品で敵役を演じた二谷英明さんが兄貴分として後半登場します。思わず西部警察と特捜最前線の共演だーと喜ぶおっさん(笑)。また仮面ライダーV3のデストロン大幹部キバ男爵を演じた郷えいじさんも敵役で登場するのも興味深いですね(^^)

やっぱり鈴木清順ってすごかったんだなぁと再確認できますね。まだまだ見るべき清順作品はあるんで見ていきます(^^)

追記 そう言えば、昔ルパン劇場版バビロンの黄金伝説を監督してますが、色彩の派手さはダントツなんですよね(笑) 
滝和也

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