天津甘栗

竜馬の妻とその夫と愛人の天津甘栗のレビュー・感想・評価

竜馬の妻とその夫と愛人(2002年製作の映画)
3.6
明治初期、坂本龍馬の十三回忌を控え、勝海舟がふと呟く。
『そういやあの女どうしてる?おりょうは?』

楢崎(坂本)龍。
幕末の英雄、坂本龍馬の妻。
志士らの間で度々噂に上るほどの美貌の持ち主で、龍馬との武勇伝は数知れず。

だが、龍馬の死後は日の目が当たらず、龍馬の伝手を転々とし、酒に溺れ、果ては人の妾になったりしながら貧乏暮らしをしていたそうな。
プライドの高さと鋭い気性(坂本龍馬はその個性こそが魅力と面白がった)が災いし、龍馬の家族や仲間たちから疎まれてしまった。

そんなおりょうさんの不遇の時期を鈴木京香が好演。
憂いの表情から滲み出る抑えきれぬ色香。自己中心的とも取れる頑固で強気な性格。龍馬を想う虚しい叫び。
美しく淋しげな鈴木京香の横顔に、龍馬の死後のおりょうさんは本当にこんな人だったのだろうなと感じた。
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