ピッコロ

聖なる嘘つき/その名はジェイコブのピッコロのレビュー・感想・評価

4.0
嘘が本当になる日

ロビン・ウィリアムズの映画で一番好きなのは?
と聞かれると人それぞれ答えが返ってくる。
自分は、この映画と言いたいけど、初めて観るので違う。
「いまを生きる」かなぁ。

「ミセス・ダウト」も悪くない。
「レナードの朝」、「ジャック」、「パッチ・アダムス」だって・・・。

戦争映画なので、いつもの笑顔は少なめ。
でも、彼の優しさはたくさん感じることができる作品。
ジェイコブが一人でラジオを演じてるシーンがお気に入り。
あれこそ、ロビンの真骨頂。マシンガントークで愉快に演じている。
あぁ、良い俳優さんだったなぁ。

第二次大戦中、ナチスの占領下ゲットー。
ジェイコブは、ひょんな事からドイツ軍の司令部でラジオから流れる現在の戦況(ドイツ軍が不利な状況であること)を耳にする。その情報を友人に話したことからラジオを持ってると勘違いされる。そのおかげで人々は希望を取り戻し生きていくことに前向きなっていく。そんな姿を見たジェイコブは、嘘をつくことを決心する。

嘘が必ずしも悪いものだとは限らない。
人を傷つける嘘は、絶対してはいけないけど、人の希望になる嘘は、大賛成だ。この映画の嘘は、現在の戦況。ナチスの支配下にある彼らは、外の情報がまったく分からない。生きているのに、死んだよう生活。いつかは、収容所に送られ死が待っている。なら、この地獄から抜け出すためには自ら死を選ぶしかない。なぜなら、ここには絶望しか存在しないからだ。

希望。
それさえあれば、人は生きていける。どんな小さいことでも希望さえあれば前に進める。それは、今の現在も変わらない。希望があれば、どんなに辛い事や苦しい事もへっちゃらさ。
でも、それが無くなってしまった時、人々はどうなるのだろうか。絶望の中で、生きていくにはどうすればいいのだろうか。明日がどうなるか分からない不安定な時代。希望が人々を救う。

戦争映画なので、終盤は観るのが辛い。
出来るなら、停止ボタンを押して、永遠と先には続かない世界で生きさせてあげたい。でも、目を背けちゃダメだ。人間は同じ事を繰り返す生き物。
このことを忘れてはいけない。辛いけど、再生ボタンを押して、その先へ。

絶望しか待ってない未来。
だけど、希望を持って観てみると、もしかしたら・・・。
嘘のような、本当のような結末に胸がスーッとなった。

最後に、自分も一つだけ嘘をつこうと思います。

このレビューを読んだ人は、幸せになれる。

嘘が本当になるその日まで・・・。

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