Haman

バルカン超特急のHamanのレビュー・感想・評価

バルカン超特急(1938年製作の映画)
3.6
婆さんの神隠し。列車で居眠りをしている間に相席していたはずの老婦人が存在ごと消えてしまう話。
列車内を探すも誰一人として老婦人を見かけた人がなく、おかしいのは自分の頭かはたまた回りの人間か。『バニー・レークは行方不明』『フライトプラン』なんかの人間不信サスペンスの雛型的作品。

まあ古い作品なので、回りの人間の企みであることや犯人なんかもすぐに特定できちゃう。そういった犯人捜し要素を目当てに観ると肩透かしを食らうかも。
それでも伏線がとんでもなく見事で、不倫旅行中のカップルやクリケットの決勝戦を観たい人、色んな理由で面倒事に巻き込まれたくない人達が聞き込みで嘘をつき、意図せず主人公が孤立していく様子がめちゃくちゃスムーズだった。

中でもクリケット狂いのコンビが最高に可愛らしくて好き。
もうクリケットのことしか考えてないし至る所で酷い仕打ちは受けるし謎に銃の名手だし。それでいて手の甲を撃たれても声ひとつ上げない。撃たれた掌を見てただ呆然としてるだけ。イギリス紳士ってすんげえや。
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