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宵待草のnagashingのレビュー・感想・評価

宵待草(1974年製作の映画)
3.5
ニューシネマが大正アナーキズムを経由してホモソーシャルな連帯へと結実(?)。三つ巴の抗争はグダグダ、三人の逃避行はダラダラ、細野晴臣によるメインテーマはユルユル、といった具合のまったり進行。青春らしい痛みも、吹き出る鮮血というよりじっとりした疼きといった感じ。三角関係において女が疎外されてしまうという顛末がかなりおれ好みで、女は男ふたりが自身の美学や友情に殉じロマンティシズムを共有するための触媒にすぎない、ということ。突然、画面いっぱいに不時着した気球の球皮がおおいかぶさってくるショットは、空気が抜けきってしぼむまでの時間差を利用した鮮烈な不意打ちで痺れた。
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