セルジロベルト

夏の嵐のセルジロベルトのレビュー・感想・評価

夏の嵐(1954年製作の映画)
4.8
セットの美しさだけで震える。
オペラのシーンから始まるこの映画全体がオペラのような伝統と芸術を孕んでいる。

この作品や「山猫」の頃のヴィスコンティは絵画が動き出したような伝統に則った映像でクオリティが高い。
「ベニスに死す」や「地獄に堕ちた勇者ども」のようなデカダンスとエネルギーに溢れた頃のヴィスコンティの方が好きだけど。

カメラや編集にそつがない。
採点不能の個性より、100点満点の正確さ。
構図だけで感動する。

アリダヴァリの演技が素晴らしい。
女優はまず表情から惹きつけられなければいけない。
骨の太く肩幅のある声の低い女性なのに、あのしなやかさが細く弱い女性を連想させる。


意外だったのが、戦争のシーンに活劇の興奮があった。