ろ

或る夜の出来事のろのレビュー・感想・評価

或る夜の出来事(1934年製作の映画)
5.0

”困ってるの、助けて” となぜ言えない?素直になったらどうだ?


久しぶりに古い映画、キャプラさん。
やっぱりステキやわぁ。

しょうがないなぁと呆れつつ、怒りつつも、モーテルの一室を用意してパジャマを貸してくれるゲイブルさん。わがままで意地っ張りだけど、男らしいゲイブルさんにときめく女性。
ちょい役の悪だくみ男や新聞社の編集長、お父さんも物語のアクセントになっていて、ただの恋愛映画で終わっていない。家族の物語でもあり、結婚式のヴァージンロードにはジーンときてしまいました。


世間知らずのお嬢さん。
父に結婚を反対され、家出。
バスで恋人のいるニューヨークを目指す。
そのバスの中で出会った新聞記者(クラークゲイブル)と共に旅をすることになるが。

マスコミが「銀行家の令嬢、失踪」と書き立て、お父さんも頭を悩ませる。そこで、娘を発見した人に賞金を渡すことに。その新聞を見たバスの乗客がゲイブルさんに話を持ち掛ける。「俺たち二人で協力しないか。賞金は折半しよう」
ここで、冴え渡るゲイブルさん!あっという間に相手を震え上がらせ、追い払ってしまいます。この場面がもう最高に痛快!


最後の夜。
お嬢さんは自分の気持ちに気付き、告白。
ゲイブルさんも「ベッドに戻れ」と言ったものの、お嬢さんへの恋心を確信。そこで、一本の記事を書き上げて編集長の元へ向かいます。
記事が高値で売れ、ルンルンでモーテルに戻る途中、対向車に乗るお嬢さんと恋人を発見。
お嬢さんとゲイブルさんの気持ちは見事にすれ違ってしまいます。(恋愛映画あるある、心地いい)


キャプラ監督だからラストはこう!と分かっているのに、それでもやっぱりハラハラするし、すごく楽しい。
ウィットの効かせ方もロマンティックで素敵でした。



オマケ

先日の日帰り一人旅。なかなかに試練でした。
特急列車はものすごく揺れて、京都らへんで酔ってしまったり(早すぎ)、思っていたよりも観光地が駅から遠かったり。

前回の岡山と神戸の時より人と話す機会も多く、それだけでもすごく疲れて、帰りの電車で食べたお弁当の味はよく分からなかった。


それでも、”できた”の積み重ねはすごく大事で、その一つ一つが”自信”を作っているんだなぁと実感した旅でした。
帰って来たその日はヘコんでいたけれど、じわじわ「やっぱり無駄じゃなかった」という気持ちが湧いてきています。

この映画で、お嬢さんも初めてのことをたくさん経験します。
一人きりでバスに乗ること。
無一文で暮らすこと。
生のニンジンを食べること。
藁の上で眠ること。
男の人と二人きりになること。
そうして、少しずつ成長していくのです。
ろ