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或る夜の出来事のハリィしろかわのレビュー・感想・評価

或る夜の出来事(1934年製作の映画)
4.2
【シネマメモ帖 「或る夜の出来事」(1934年)】

1930年代初頭から1940年代にかけて、ハリウッドでは、「スピンがかかりどこへ飛ぶか予測がつかないボール」が語源の「スクリューボールコメディ」作品がさかんに作られました。

(1929年の世界恐慌の影響で荒んだ世の中、せめて映画の中では明るくハッピーに楽しみたい、という風潮も相まってできたジャンルとも言われる)

スクリューボールコメディの特徴は、

・異なる世界に住む男女のラブロマンス
・常識にとらわれない登場人物
・テンポの良い洒落た会話
・次々に事件が起きる波乱にとんだストーリー展開

ですが、これらを全て満たし、
まさにスクリューボールコメディの代表作として名を残しているのが、フランク・キャプラ監督の本作「或る夜の出来事」です。

大銀行家の一人娘(クローデット・コルベール)は父親に無断でパイロットと婚約。父の怒りから逃れ、彼に会いたい一心で長距離バスに乗り込むが、車中で失業中の新聞配達(クラーク・ゲーブル)と知り合う。道中を共にするうちに、身分の差を超えた恋が芽生える…
といったストーリー。

後の恋愛映画・ドラマ・マンガ等に
多く応用される要素をたっぷり詰め込んだ、
まさにオシャレラブコメの教科書的な作品。😍

例えば…
・コルベールとゲーブルとの丁々発止の会話のやりとりはラブコメの超定番。

・ヒッチハイクのシーン。ゲーブルがヒッチハイクしてもなかなか車は止まらないが、コルベールがスカートをチラッとつまみ上げると一発で車が止まる、といったコメディの超定番。

・モーテルに泊まるとき、一部屋しかないので、部屋の真ん中にロープを張り、そこに毛布をかけて壁を作る(通称「ジェリコの壁」)。その壁越しにコルベールとゲーブルが会話をするうちにお互いを意識し合う、まるでラブコメマンガのような展開。

・大金持ちの娘と新聞記者の中年男性がお互いに身分を隠して仲良くなる展開は、後に「ローマの休日」でも応用。

・コルベールが自身の結婚式を抜け出し、ゲーブルのもとに行くラストシーンは、後の「卒業」等の映画・ドラマでもたくさん応用。

と挙げればキリがない!😅

また、本作は当時のアカデミー賞で主要5部門(作品賞・主演男優賞・主演女優賞・監督賞・脚本または脚色賞)を初めて制しており、
名実ともに名作と言っても過言ではないです。

ラブコメ好きな方に強くオススメしたい
本作です!

追記1
アカデミー賞主要5部門を制した作品は、
現時点では、本作の他に
「カッコーの巣の上で」(1975年)と
「羊たちの沈黙」(1991年)
しかないとのこと。

追記2
本作のクラーク・ゲーブルの役柄、
なんとなく1990年代のハリソン・フォードが演じてそうな感じ。

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