イチロヲ

悪魔の発明のイチロヲのレビュー・感想・評価

悪魔の発明(1957年製作の映画)
4.0
高性能爆弾の研究に着手している科学者と助手が、世界征服を企んでいる伯爵に誘拐されてしまう。1896年に発行されたジェーヌ・ヴェルヌの同名小説を映像化している、チェコスロヴァキア産の伝奇映画。

伯爵により監禁されている善人側の助手が、手記の内容をフラッシュバック方式で語っていく。科学者特有の職人脳をエモーショナルに描きつつ、発明という行為のダークサイドを提起する。

「自己の可能性を探求する科学者」という頭をもってしまったがために、本能と自我のシーソーゲームが激しく揺らいでしまう。このモチーフは、現代の兵器開発にそのまま置き換えることが可能(なお原作の発行は100年以上前)。

プリミティブとレトロフューチャーとスチームパンクが混在している、独特の空間作りがカッコいい。手描きの書き割りと本物の大道具がごちゃ混ぜに配置されており、船の機関室を横移動するときの立体感に感嘆の声が出そうになる。
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