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トゥルーマン・ショーのKeNのレビュー・感想・評価

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
3.8
NHK BSプレミアムシネマの録画にて。久しぶりの再見。

「俳優の作り者の表情にはうんざりだ。爆破シーンやSFXにもね。だが住む世界は作り物でもトゥルーマン自身は作り物じゃない。台本もカンペもない。シェイクスピアには及ばないが本物の人生だ。」by クリストフ

「自分の頭の中までカメラで見てないさ。」by トゥルーマン


主人公となるトゥルーマンの産まれた時から全ての人生を隠しカメラで撮影し、『トゥルーマン・ショー』というリアリティ番組のかたちで全世界に放映されているという設定や演出、そしてストーリーが絶妙なアンドリュー・ニコル脚本&ピーター・ウィアー監督による名作。突っ込みどころも多々ある演出や設定ながらも今改めて観ても十分に楽しめる。
産まれる前から24時間全世界にその姿がテレビを通じて晒され、自分自身が暮らす世界が全て巨大な虚構のセットで、親も含め自分自身以外の者すべてが俳優の“フィクションの世界”だったという“事実”を知った時の恐怖はこの上ないであろうなぁ…

1990年代にアメリカのテレビ番組で作り出された「リアリティ番組」であるが、インターネットや防犯カメラなどの設置などが急激に進むネットワーク社会の現代においては、この作品に登場する巨大なセットのような舞台なしでも「トゥルーマン・ショー」同様のリアリティ番組を簡単に制作できる社会になりつつあるように感じられ本当に怖い。番組制作で必要な広告収入の手段もこの作品で見事に示されていたし(笑)
『水曜日のダウンタウン』あたりの番組で腹を抱えて笑い 満足してるうちはまだ良いだろうけど、人間の覗き見趣味的な好奇心は底なしだけに、徐々にエスカレートし過激になりつつある制作者側の演出などがリアルに怖い…。


ジム・キャリーという大げさな顔芸を売りとするコメディ俳優が昔から私はあまり好きではないが、この作品に限っていえば彼をトゥルーマン役に起用したのは大正解と改めて感じた。主人公であるトゥルーマンのキャラが彼の芸風がピタッとはまっていて見事。
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