ぴのした

トゥルーマン・ショーのぴのしたのレビュー・感想・評価

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
3.9
面白い!ブラックユーモアが効いてる。星新一みたい。

ある普通の男トゥルーマンの人生を隠し撮りし続ける大人気番組「トゥルーマン・ショー」。町は全てセット。周りは全員俳優。撮られているのを知らないのはトゥルーマンだけ。作られたこの町に、彼は次第に違和感を覚えていくのだが…。

これ、普通に見てても超面白いんだけど、なによりテレビとそれを見る人々を皮肉るブラックユーモアがすごいね。

テレビが巨大な力で個々人の人権やプライバシーを踏みにじっているっていう皮肉はもちろんあるんだけど、視聴者への皮肉か効いてるってとこが良いよね。

今まで無邪気にトゥルーマンショーを楽しんで見てきたのに、トゥルーマンが外の世界へ出ようと奮闘すると視聴者は一転して彼を応援して、出られた時には喝采。ラストシーン、警備員は「他に面白い番組やってないかな」とチャンネルを変える。テレビは残酷だけど、それを作っているのはそうした視聴者の無邪気なゲスい好奇心だと言わんばかりの痛烈さ。なんだかんだ言ってベッキーや小室哲哉を追い込んだのはメディアではなくそうしたゲスい世間そのものに他ならないよね。ファックオフ。

この映画自体の名前も番組名と同じ「トゥルーマン・ショー」なのは、この映画を見ている僕らもこの哀れな視聴者と同じように純粋にテレビを楽しんでいないか?という問いかけにも思えてしまう。

90年代後半はインターネットも黎明期でテレビが最強のメディアだったからこういう映画が生まれたっていう時代背景もあるのかな。現代にも通じるテーマ。まさに星新一。