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キャリーのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

キャリー(1976年製作の映画)
5.0
クラスメイトにいじめられてばかりのキャリー(シシー・スペイセク)。
しかし、彼女には隠されたパワーがあった。あるパーティで突然クィーンに選ばれに選ばれ有頂天になった彼女だが、それがクラスメイトの残酷な悪戯であったことを知る。
舞台に立つキャリーに真っ赤な血が降り注ぎ、彼女の悲鳴が、そして次の瞬間本当の惨劇が起こった! 
スティーブン・キングの小説をサスペンス映画の名匠ブライアン・デ・パルマが、お得意の流麗なカメラワークとカット割で、狂信的なキリスト教信者であり、初潮などの成熟を罪の証と考え娘キャリーを過剰に抑圧し管理下においている母親の抑圧と虐待、内気な性格ゆえに学校でもいじめにあい、「普通の女の子でいたい」というささやかな願いも踏みにじられ、級友や親身になってくれる先生の計らいで高校卒業パーティーでプロムクィーンに選ばれた幸福の絶頂でいじめの首謀者に豚の血をかけられて、プロムの会場をテレキネシスで地獄に変えてしまうキャリーの葛藤と苦悩と成長と超能力の目覚めと悲劇を、学園ドラマの要素を絡めて、丁寧に描いていて、公開後20年以上経っても色褪せない泣けるホラー映画に仕上がっています。
内気でピュアで危うい魅力を持ったキャリーをシシー・スペイセクが丁寧に演じて、アカデミー賞女優賞候補になりました。狂信的なキリスト教信者で娘キャリーを歪んだ愛で抑圧する母親を演じるハイパー・ローリーの怖すぎる熱演、トラボルタとナンシー・アレンの下劣なキャラクター、キャリーを気遣う担任教師の優しさ、キャリーが化粧やオシャレをしてドキドキワクワクするシーンの浮き足立つ気持ち、これらの要素がキャラクター描写に深みを与え切ない後味のホラー映画の傑作に仕上がっています。
学園一のイケメンにプロムに誘われたことをきっかけに自分を変えようとするキャリーの健気な決心、プロムの輝くようなキャリーの美しさが、ラストの惨劇の無惨さを引き立たせて、怖すぎます。
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