シンタロー

キャリーのシンタローのレビュー・感想・評価

キャリー(1976年製作の映画)
4.0
スティーブン・キング×ブライアン・デ・パルマによるホラー傑作。70年代における青春群像劇としても秀逸でキャリー役のシシー・スペイセクをはじめ、スー役のエイミー・アーヴィング、トミー役のウィリアム・カット、クリス役のナンシー・アレン、ビリー役のジョン・トラボルタというスターを生みました。まずキャリーの初潮でスタートするのがすごい。ここでキャリーにただならぬ力が隠されていることも暗示されます。登場人物で強烈なのがキャリーママ。始めから普通じゃない風貌なんだけど「生理の次は男の子!まるでヨダレ垂らして鼻鳴らして求め回る犬!」って娘に言えちゃう狂った人。単純にバカな悪役のクリスとビリーはわかりやすいんだけど、たちが悪いのは偽善者丸出しのスーと女教師。スーが勝手に罪の意識感じて、イケメンの彼氏トミーに無理矢理キャリーをプロムに誘わせたことが元凶。女教師はキャリーを励ますふりして本心では「トミーとキャリーはどう見ても釣り合わないでしょ」なんて言っちゃう人。気の毒なのはトミーで、彼女の頼みとはいえキャリーをエスコートして、ダンスもリードしてあげます…この場面は目が回って気持ち悪い。不正でキング&クイーンになり、晒し者にされちゃう所が、あまりにも有名な豚の血シャワーのシーン。デ・パルマ得意の分割カットと音響が最高。ステージ下で手ぐすね引いてるクリスとビリー、それに気づいて止めようとするスー、スーの動きを怪しんで会場から追い出す女教師、という一連のシーンがおもしろい。豚の血浴びてショック状態のキャリーに「生理!生理!」「笑いものになるのよ」「気の毒にキャシー」「信じて先生を」の幻聴波状攻撃で発狂、ここは最大の見せ場です。帰宅後はキャリーママが最高。家中にロウソクつけて、ドアの影に隠れてるママ…顔がイッちゃってます。罪の告白をするママ「彼のいやらしい手に触れられるのが嬉しかったのよ!お前は神に捧げるべきだった!」と包丁でキャリーに襲いかかるママがヤバすぎる。キャリーの念力で逆襲され、ナイフで磔にされちゃうママ…もうイエス・キリストの形相です。シシー・スペイセクの熱演は伝わりましたが、ママ役のパイパー・ローリーが素晴らし過ぎて、怖いけど笑わせてもらいました。
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