YYamada

キャリーのYYamadaのレビュー・感想・評価

キャリー(1976年製作の映画)
3.6
【ホラー映画のススメ】
◆作品名:
キャリー (1976)
◆映倫区分 / 日本 : R15+
◆ホラーの要素
 怒りを爆発させた超能力が恐怖を煽る
◆恐怖のレベル
 精神的恐怖 ★★★☆☆
 肉体的恐怖 ★★☆☆☆
 知識的恐怖 ☆☆☆☆☆

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・狂信的な母親のもとで育てられ、学校でも日常的にいじめを受けている少女キャリーは初潮を迎えて動揺するが、生理現象は汚れの象徴だと母親に罵られる。しかし、その日を境にキャリーは念じることで物を動かせる超能力に目覚めていく。
・一方、いじめっ子たちは陰惨な嫌がらせを思いつき、高校最後のプロムパーティの場でキャリーを陥れるが、怒りを爆発させたキャリーの超能力が惨劇を招く…。

〈見処〉
①キャリーをいじめないで!
  彼女が泣くと恐しいことが起こる——
・『キャリー』は、1976年に製作されたホラー映画。
・本作は、アメリカの人気作家スティーブン・キングのデビュー作品として、1974年に発表された同名小説を原作としたもの。キング原作作品として、初めて映画化され、本作のヒットにより、スティーブン・キングの名が世に広まることになる。
・また、本作は『アンタッチャブル』の名匠ブライアン・デ・パルマの監督作品として最初のヒット作品であり、画面分割などを用いた凝った映像演出も見どころ。
・本作主演のキャリー役のシシー・スペイセクと母親役のパイパー・ローリーが、それぞれアカデミー主演女優賞、助演女優賞にノミネートされた。
・共演は、本作出演を機に一時期デ・パルマ婦人となったナンシー・アレン、一時期スピルバーグ婦人となったエイミー・アーヴィング。ウィリアム・カット、ジョン・トラボルタらの男性陣も若かりし日の姿を見せている。
・1999年には、エイミー・アーヴィングが本作と同じくスー役で出演した続編『キャリー2』が、2013年にはクロエ・グレース・モレッツ、ジュリアン・ムーア出演によるリメイク作品が製作された。

②シシー・スペイセク
・アカデミー主演女優賞に6度ノミネートされ、『歌え!ロレッタ愛のために』(1980)にて同賞に輝く、大女優シシー・スペイセク。
・彼女の出世作となった本作『キャリー』撮影時のスペイセクは、既婚の25歳。美術スタッフの夫の薦めで本作のオーディションを受けることになった彼女は、そのスクリーンテストの際に、中学1年生のときに母親が作ってくれたセーラードレスを身に着け、あえて洗顔をせずに臨み、見事キャリー役を獲得。
・また、孤独なキャリーになりきるため、撮影中には、他の俳優との交流を意図的に避け、トレーラーの中に篭ったりセットの後ろに隠れていたという。スペイセクの執念の演技は、本作の至るところで垣間見ることが出来る。

③結び…本作の見処は?
◎: 「40分ものドラマ」でも描けそうなシンプルなストーリーを丁寧に描き出されたホラー映画の金字塔作品。キャリーに対する酷い仕打ちは、その後の多くの小説や映画に影響を与えている。
◎: ラスト20分にホラー要素が凝縮。穏やかな表情から一転して、目を見開くシシー・スペイセクの迫真の演技が見もの。ラストシーンも怖い。
▲: オマージュ…とはいえど、恐怖のインパクトのかなりのウエイトをヒッチコック監督の『サイコ』テーマ曲に依存しているのは否めない。
YYamada

YYamada