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キャリーのtjZeroのレビュー・感想・評価

キャリー(1976年製作の映画)
3.9
厳格な母親に育てられたキャリーは、クラスメイトからいじめられ、思春期の身体の変化にも心がついていかない。
精神の変調をきたした彼女は、超能力(テレキネシス)を操れるようになってしまう…。

アルフレッド・ヒッチコック監督作には、『見知らぬ乗客』、『サイコ』、『フレンジー』などなど、強権的な母に支配されるキャラクターが登場する作品が多数存在する。

ヒッチコックの後継者と呼ばれがちな本作のブライアン・デ・パルマにとっても、この題材はピッタリであった。

自分は怖がりなもんで、デ・パルマ作は敬遠気味だったんだけど、やっぱりちゃんと観ると面白れ~な~。

なにげない日常描写でも、不穏というか、まがまがしい空気が漂っていて、グイグイと引きつけられてしまう。

そして、クライマックスのパーティ場面ではキャリー役のシシー・スぺイセクを思いっきりきれいに撮り、めくるめくダンス・シーンでさらに輝かせてからの…奈落に落とす演出の呼吸もお見事。

原作はスティーヴン・キング。
彼の初期作には、本作、『クリスティーン』、『ファイヤースターター』など、虐げられたティーンの怨念を描く作品が多い。
その真に迫った描写からは、自身もそんな境遇を味わったんじゃないか、という生々しさがある。
似たような十代を送ったと思われるティム・バートン監督にも、キングの原作を映画化でもして、もう一度リフレッシュしてもらいたいなあ。
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