Aika

エビータのAikaのレビュー・感想・評価

エビータ(1996年製作の映画)
4.1
聖女と呼ばれた悪女。
彼女はアルゼンチンの救世主だったのか、それとも金を吸い尽くす悪魔だったのか。

アルゼンチン大統領ペロンのファーストレディとして国民に愛されたエビータ。その激動の生涯を描いたミュージカル。
舞台版は1980年トニー賞で作品賞含む7部門授賞。

作詞ティム・ライス、作曲はアンドリュー・ロイド・ウェバー御大。2人が組むのは「ジーザス〜」「ヨセフ〜」に続き3作目。(こちらの2本も素晴らしいミュージカルなので、そのうちレビュー書きたい!)

スコアはいかにも御大!というロックオペラみのあるメロディアスなものや、クラシック、ラテンの要素も取り入れ、複雑に絡む旋律とリズムはやや難解。しかしそれがまた奇跡のように美しい…!

未だに国民に愛されている女性を描きながらも、作品としてはとてもシニカル。
チェという狂言回しの存在が、彼女の裏の顔、欺瞞性を露わにし、 一筋縄ではいかないエビータの生き様が見えてくる。

エビータ役のマドンナの強烈なオファーで決まったチェ役は、アントニオ・バンデラス。
彼はトニー賞にもノミネートされた実力者。歌も踊りも顔もいいなんて…

マドンナは賛否両論だったみたいだけど、私はよかったと思う。オリキャスのパティ・ルポーン様と比べるのは酷。
聖と俗、両面を持ちながら、彼女の根底にあったのは社会への怒り。その怒りに導かれた道でカリスマ性を発揮する。
罵られ叩かれても、崇めてくれる国民のため進み続ける姿は誇り高く美しい。
2度目の「Don't cry for me Argentina」は涙なくしては観れません。


先日今作の来日公演に行ってきたんですが、チェを演じたのがセクシーファントムラミン・カリムルーでした。(彼に関して詳しくは「オペラ座の怪人 25周年記念公演」で書いてます。)
ツアーには参加せず日本だけ!日本だけ!でラミンがチェをやるという超豪華仕様だったんですが、彼のチェはバンデラスの捉え方と全く違い、それによってエビータ像もこんなに変わるんだと。
チェはアルゼンチンの一部でエビータが作り出した影でもあり、怒りより嘆きが強くなることでエビータの痛みも明瞭となる。
曲もストーリーも同じなのに、演出と演者さんの表現で全く違う魅力が生まれるのがミュージカルの面白さ。

最前列だったのでラミンが5m圏内に何度も入ってきて、2秒くらい目が合ったような気が!した!
あの客席を飲み込むような迫力の歌声とフェロモン。
そしてあの筋肉ね。チェはタンクトップのみのシーンありなのが、ありがたやありがたや…

舞台観てから毎日「A New Argentina〜🎵」て歌ってます。
ラミン次は何役で来日してくれるかな〜♡
アンケート真っ黒になるくらい希望書いておいたからひとつでも叶うといいなぁ。

エビータとペロン大統領については、少し知識を入れてから観ると面白さは増すと思います。(Wikiで十分かと)
エビータが病に伏せることがなければ、アルゼンチンの歴史もまた違ったのかもしれないな。
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