ペジオ

殺人ゲームへの招待のペジオのレビュー・感想・評価

殺人ゲームへの招待(1985年製作の映画)
3.8
真実はたまにみっつ!

良い意味で「真剣に観るもんじゃない」映画

「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」が話題ですが、そのコンセプトを聞いて思い出したのが本作(まだ観てない。早よ観ないと…)
公開劇場ごとに3通りのエンディングを使い回していたのだそうな
まあ、ゲーム的な「インタラクティブ」を取り込んだ「バンダースナッチ」に対して、本作のそれはウィリアム・キャッスル的な「ギミック」の潮流なのだろうが、「これが映画だ!」みたいな映画を神棚に置くように大事に大事に扱うより、遊び道具の一つぐらいに転がすほうが「発展的」なんじゃねという意味では同じ括りかなと(「たかが映画じゃないか」という先人の偉大な言葉を思い出す。)

映画自体はクリスティっぽい「洋館で行われる晩餐会で一人、また一人…」っていう本格ミステリーを茶化したコメディ(導入とかまんま「そして誰もいなくなった」)なのだが、そもそも「ミステリー」というジャンル自体が「殺人」を一種の遊び道具と捉えた「ゲーム」という不謹慎な側面があるので、このコメディ路線は計らずもミステリーの本質に触れている様な気もする
マルチエンディングを可能にする為、「どうとでも解釈できる」様なユルい作りになっているのは、元ネタのボードゲームのシステムの「行き当たりばったり」感まで映像化したのか、あるいはミステリーの肝である「謎解き」そのものを茶化したのだろうか
犯人が誰であろうと、人生においてどうでもいい…この「どうでもいい」ってのは「娯楽」において不可欠な要素だと思う

実際、フックになってる斬新な試みそのものよりも、そこに至るまでの過程がすこぶる楽しい(僕自身がエンタメにおける謎解きにあまり興味が無いというのもあるが。)
ポンポン出てくる「隠し通路」とか、真剣に謎解きするような方々からすれば萎える事この上ないのかもしれないが、画的にはワクワクしてしまう
舞台を移動する時イチイチ全員で移動するのとか、電報配達人の顛末のテンポの良さとか、どんどん雑になっていく死体の扱いとかツボだった
何度も繰り返される暗闇のシーンも普通にカッコ良くて面白い

ミス・スカーレットは最初スーザン・サランドンかと思った(多分顔ちゃんと見てなかったんだと思う。)
彼女やメイドの扇情的で挑発的な格好を見ててたったひとつの真実に辿り着けた気がする
…おっぱいはいつもふたつ!
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