Kuuta

怪獣大戦争のKuutaのレビュー・感想・評価

怪獣大戦争(1965年製作の映画)
3.3
とりあえずキングオブモンスターズを見るまでに、キングギドラが出る作品は一通り見返すことが出来た。

1965年公開の6作目。今作はヤケクソな勇ましさの溢れる怪獣大戦争マーチが聴けるだけでも基礎点は十分確保できている。伊福部音楽で一番好き(シン・ゴジラの無人在来線爆弾のテーマです)。

シェーをするゴジラなど、基本的に軽いノリのお祭り映画ではあるが、後述するようにキングギドラ映画としてはなかなかハイレベル。

冒頭、背景画面に映り切らないデカイ木星が浮かんでいるのがワクワクする。X星人の基地もこの時代のデザインにしては結構オシャレだなあと思っていると(特に廊下)、X星人のビジュアルに盛大にずっこける。円盤が湖から現れるシーンはかなり気合が入っているが、キャラ設定やその後の展開は(今から見ると)ベッタベタな印象。

X星でのゴジラ・ラドンとキングギドラの戦いは、地球とは全く関係ない場所なこともあり、緊迫感はあまりない。軽いエキシビションという感じ。とはいえ、宇宙怪獣がついに宇宙で暴れる様を楽しめるのは素直に嬉しい。

怪獣そのものではなく、怪獣を操る敵との戦いが主眼に置かれているため、そこからの人間ドラマは結構退屈だった。「世界教育社」が宇宙人の秘密結社という設定は面白いが、コメディもそこまで楽しめなかった。世界が混乱、という割に登場人物が限られており、X星人対日本人withニック・アダムスというスケール感がよく分からない状況になっている。

波川(水野久美)の「存在が消される」のはショッキングだった。ニック・アダムスとの恋愛要素をもう少しまともに描けていたら悲恋として見せ場になっただろうに。

という事で、全体に低調な印象だったが、地球での戦いに移るラスト30分は非常に良かった。まず、キングギドラは今作が全盛期ではないだろうか。見事としか言いようのない操演。迫力と美しさ、そして無様なやられっぷりを兼ね揃えた、お手本のようなキングギドラだった。

ミニチュアの破壊描写の出来(日本家屋や工場、陸橋のディテール。瓦が滑り落ちる!)が素晴らしいし、富士山を背景にした怪獣の暴れ方も美しい(他作品の使い回しカットには眼をつぶる)。戦車の爆炎、円盤からのレーザー、ラドンの風、キングギドラの光線の入り乱れる様。タイトルに恥じないカオスな画面が作れていた。ゴジラの尻尾を舐めるように撮るアップの使い方や、人とのカットバックで迫力を出す編集も、シリーズ6作目ともなると円熟味を増してきたなと。

冒頭から引っ張ってきたアイテムが活躍したり、混乱の中で戦車が一気に突撃したりと、人間の活躍もなかなか見ごたえがある。実は「三大怪獣」にはなかった自衛隊vs怪獣が復活しているのも◯。イマイチ魅力的に見えなかったX星人も、事態の変化に対応できないまま現場に無茶を言うブラック企業的な情けなさが露呈してきて目が離せなくなった。X星人の土屋嘉男の「我々は未来に向かって脱出する、まだ見ぬ未来に向かってな」は見事な捨て台詞だった。

今作をもって、完全に子供向けにシフトした印象。ゴジラが木星に運ばれる時に尻尾をクルンと丸めてるのがかわいかった。65点。