私は基本的にギャンブルをやらない人間なのだが、若い頃に一度だけ競馬をやって勝ったことがある。100円玉が1,000円札2枚を連れてこの手に返ってきたのだが、それ以後は一切やっていない。
なぜか? これに味をしめてハマったら、大損するのが目に見えているからだ。このまま一生やらなければ、勝ち逃げできる。だから二度と競馬をやるつもりはない。
これをただの腰抜けではないかと揶揄する者もいるかも知れないが、しかしその考え方が間違っていないというのを、私はこの映画で擬似体験できた。カジノで大勝ちしたいという気持ちは誰にでもあるものだが、それは現実にはひとを堕落させるだけの麻薬にもなり得るのだ。
ちなみに作品自体はたいへんおもしろく、一瞬たりとも退屈することがなかった。物語もよかったのだが、なにより演出が私の好みである。カット割りだけでも映画に入れるかどうかは変わってくる。その点で本作は私と波長が合ったのだと思う。
(U-NEXTで鑑賞)