TS

無防備都市のTSのレビュー・感想・評価

無防備都市(1945年製作の映画)
3.4
【イタリア・ネオレアリズモの代表作】
ーーーーーーーーーーーーーー
監督:ロベルト・ロッセリーニ
製作国:イタリア
ジャンル:戦争
収録時間:106分
興行収入:約100万$
ーーーーーーーーーーーーーー
記念すべき第一回カンヌ国際映画祭におけるパルム・ドール作品。とは言っても当時は一年にパルム・ドール作品は何点かあったようですが。現実を描くイタリアネオレアリズモの代表作。1945年の映画ということで、第二次世界大戦中に製作されたものであります。題材も、降伏したイタリアにドイツ兵が進軍してくるというもので、当時の情勢を鑑みても非常に緊迫感があります。当時は批判的に受け止められたらしいですが、それもそのはず。忌々しい負の歴史を題材としたものを、現在進行で上映されてはたまったものではありません。しかし、その当時において敢えて真実に近いフィクションを見せることに意味があったのではないかと思われます。

第二次世界大戦末期、イタリアは連合国に無条件降伏をする。それに対してローマに侵入するドイツ。ドイツのゲシュタポに対抗するためパルチザン指導者のマンフレーディは立ち上がるのだが。

「無防備都市」とは無条件降伏宣言をすることにより、軍事を置かずに解放された都市のことです。
映画を見るといつも思います。本当に勉強になると。毎度映画を見た後、簡単にその映画について調べるようにしてます。一つはしっかりと納得をしたいため。もう一つは本記事において間違えてることを書かないためです。この間違えてることというのは普遍的な事実に関してです。なので、面白くないとかの主観的なものはまた別であります。そして、今作も見終わってから簡単に調べさせてもらいましたが、やはり勉強になります。それは非常に有難いことです。

特に今回においては、枢軸国同士であるイタリアにドイツ兵が進軍してくるというのを初めて知りました。無知すぎて恥ずかしい限りですが、これは中々衝撃でした。しかも、1944年に撮影されているのでまだ戦時中であります。従って、ストーリー自体はフィクションであれど、その生々しい状況は本物と言えるでしょう。

マンフレーディへの拷問や神父の最後も生々しいし、パッケージにもなっている女性ピーナが車を追うシーンなどは印象的です。非常に絶望的であり、何も救われない暗い映画ですがそれは当時の状況に擬えているものでしょう。

このような、当時の惨事をその当時に描く映画は現在ではご法度のような気もします(例えば、現段階においてISに関わる映画を作るのは非常に危険でありタブーであるということなど)が、そこがネオレアリズモの特徴といいますか、何の躊躇いもなく今作は当時の状況を描いてます。これには深い感銘を受けました。『自転車泥棒』もネオレアリズモの代表作ということなので、また見てみたいと思います。

ただし、終始淡々としてるので見る人を選ぶ気もします。クラシック映画や第二次世界大戦に関わる映画が好みでないと、少し退屈かもしれません。それでも、終盤は退屈なんていってられないほど、凄惨なシーンが続きますが。。
TS

TS