sonozy

無防備都市のsonozyのレビュー・感想・評価

無防備都市(1945年製作の映画)
4.0
連合軍に降伏し、ローマが無防備都市宣言をして間もない1945年に製作された、ロベルト・ロッセリーニ監督によるネオレアリズモの記念碑的作品をやっと。
原題: Roma città aperta/Rome, Open City(開放された都市ローマ)

ドイツ軍占領下のローマで、不屈の信念で隠密活動を続ける対独レジスタンスのメンバー2人(マンフレーディとフランチェスコ)、フランチェスコとの結婚を控えた子連れのピーナ。
彼らをサポートするドン・ピエトロ神父。
彼らを追い詰めるベルグマン少佐率いるゲシュタポたち。
マンフレーディが付き合っていた女優マリーナと、彼女を麻薬漬けにさせ情報源にするゲシュタポ婦人部員イングリッド。

配給が足りず、パン屋を襲う女たち。
爆弾を作り、ドイツ軍に対抗する子供たち。
明日結婚するはずだった二人。捉えられたフランチェスコを追い、銃弾に倒れるピーナ。※このジャケットのシーンです。

「拷問に耐えたらイタリア人が支配民族であるドイツ人と差がないと認めよう」と言い放つベルグマン少佐に、「ヨーロッパ中で殺して殺して殺しまくった俺たちは、憎悪に囲まれ、絶望の中で死ぬのだ」と返す同僚の声もむなしく、神父の目前でゲシュタポの凄惨な拷問を受け命を落とすマンフレーディ。

この後、ローマが開放されようと、少年たちの心に強い憎しみが宿ったであろう後ろ姿が重いラスト。

マンフレーディ役のマルチェッロ・パグリエーロのレジスタンスのリーダーらしき気骨なキャラクター、ピーナ役のアンナ・マニャーニの悲哀、ドン・ピエトロ神父役のアルド・ファブリッツィの覚悟、マリーナ役のマリア・ミーキの儚い美貌。沁みました。

第1回カンヌ国際映画祭: グランプリ(11本のうちの1つ)
National Board of Review: 外国映画賞、最優秀主演女優賞(アンナ・マニャーニ)
ニューヨーク映画批評家協会賞: 外国映画賞
sonozy

sonozy