たむらまさあき

やさしい女のたむらまさあきのレビュー・感想・評価

やさしい女(1969年製作の映画)
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ファーストカット、ベランダのテーブルが倒れる。次のカットではスカーフが宙を舞っている。3番目のカット、転落死した若い女が道端に横たわっている。

テーブルは女が飛び降り自殺の際に足場として使ったもの、スカーフは女が身に付けていたものと推測される。
数秒前まで生きていた女の気配や痕跡をとどめているテーブルやスカーフは「動き」をもっているのに対し、それら2つのカットの後につづく3番目のカットでは、絶対に「動かない」女が示される。
「動」から「静」への移行の容赦ない冷たさ。

十秒足らずのこれら一連の映像は観ている者の心をガッと掴み、画面から視線をそらすまいとさせる。
その緊張感が90分弱にわたって弛むことなく持続する。
本当にくぎづけになる。