広川なつき

やさしい女の広川なつきのレビュー・感想・評価

やさしい女(1969年製作の映画)
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台詞のひとつひとつが、筋書きの流れに抵抗するかのようだと思った。ひと言ひと言に、はっとしながら観た。
それなのに物語は結局あるべき方向にしか進まないことの少しの違和感と不自由さ。

ドストエフスキー原作のブレッソン監督の映画という組み合わせ、あまりにきれいにはまっていて接ぎ目が見えないようで、でも物語以外の部分、映像じゃないと見せられない部分が無駄なく形になってた気がする。

自分の心に響く音楽を探すように、レコードを次へ次へと替えながら聴く場面の沈黙…デジタルプレイヤーでいくつもの音楽をランダム再生しているみたいだった。表には出さないけど切実に探す感じ…40年以上前の映画なのにこんな共感のさせられ方するんだ、って思った。
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