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3時10分、決断のときのYYamadaのレビュー・感想・評価

3時10分、決断のとき(2007年製作の映画)
3.8
~脱「勧善懲悪」の「新西部劇」~
【ネオ・ウェスタンのススメ】
『3時10分、決断のとき』(2007)

◆本作の舞台
 ビスビー→コンテンションシティ /
  アリゾナ準州
◆連関する時代背景
・1865年 / 南北戦争の終結
・1869年 / アメリカ大陸横断鉄道の開通
★1870年代前半 / 本作の舞台

〈見処〉
①二大俳優揃い踏みによる、
 ネオ・ウェスタン幕開けの傑作
・『3時10分、決断のとき』(原題: 3:10 to Yuma)は、2007年に製作された西部劇映画。
・本作の舞台は、南北戦争終結終間もないアリゾナ準州。北軍に従軍し、片足を不具にした牧場経営者ダン・エヴァンス(クリスチャン・ベール)は、その存在を疎ましく思う町の有力者によって嫌がらせを受けていた。
・そんなある日、ダンはビスビーの町に向かう道すがら、無法者ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)率いる強盗団と遭遇、彼らに襲撃された駅馬車を発見する。ダンはただ一人生き残ったピンカートン探偵社に所属する賞金稼ぎバイロン(ピーター・フォンダ)を救助する。
・ビスビーの町に到着したダンは、ベンが保安官に捕まる現場に居合わせる。ベンの強盗団によって度々損害を蒙っていた鉄道会社の重役は、彼を縛り首にするため明後日の「ユマ行き3時10分発」の汽車に乗せようとする。ベンは、生活資金を稼ぐため、コンテンションの駅まで護送する一行に同行を願い出る…。
・本作は、人気小説家エルモア・レナード原作の傑作西部劇『決断の3時10分』(1957)を、新鋭ジェームズ・マンゴールド監督によりリメイク。困窮した生活から抜け出すために、悪名高い強盗を3日後の3時10分発の汽車に乗せるまで護送をすることになった牧場主の2人の緊張感溢れる駆け引きと信頼関係が醸成する様を描いている。
・本作は、勧善懲悪を超えた人間ドラマと迫力満点のアクション・シーンにより、当時衰退著しかった西部劇映画としては久々のヒットとなり、ウエスタン復権のきっかけとなった作品である。

②結び…本作の見処は?
◎: 冒頭の駅馬車襲来や、クライマックスのコンテンションシティのガンファイトなど、西部劇アクションの最高峰レベルの激しいアクションは大迫力。
○: 勧善懲悪に依らない魅力的な悪人をラッセル・クロウが好演。従来型の西部劇にはない魅力を発揮している。
○:「子役からずっと第一線のスター」クリスチャン・ベールが33歳のときの本作は、彼の代表作のひとつ『ダークナイト』の前年に製作されており、いちばん男前えの時期のベールの凛々しさが堪能出来る作品。マンゴールド監督とは、のちに『フォードvsフェラーリ』(2019)でも共作を果たしている。
○: ピーター・フォンダとベン・フォスターの新旧助演陣も豪華なキャスティング
▲: ビスビーからコンテンションシティに向かう最中に幾度も繰り広げられるベン・ウェイドとの駆け引きは、少々クドく、退屈感を覚えるのが唯一の残念。
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