ろ

秘密の花園のろのレビュー・感想・評価

秘密の花園(1993年製作の映画)
5.0

子ども嫌いの両親は、パーティーに夢中だった。
華やかな裏で、毎夜置き去りにされるメアリー。
そんな中大地震が起こり、孤児となった彼女はインドからイギリスへ渡る。

薄暗い廊下、閉め切られた窓。
古く、手入れの行き届かない屋敷から、時折誰かのすすり泣く声がきこえる。
メアリーは屋敷に仕えるマーサから縄跳びをもらい、病弱な従兄弟とパズルをする。白い馬の少年ディコンとともに種をまく。
そうして寂しい冬を越えていく。

オレンジ色のコマドリに導かれて辿り着いた秘密の花園。
荒れ果てた庭、枯葉の下に埋もれていたのは小さな若葉だった。
「この庭は枯れて死んでいるように見える。だけどまだちゃんと生きているんだ。」
ユリの球根を植える。
黒い大地に白く細い根がぐんぐん伸びて、大地をしっかりと掴んでいく。

雨が上がれば春が来る。
バラやチューリップが咲き、小川は緩やかに流れカモが泳ぎ、小鹿は若草に寝そべる、青々とした春。
「僕はもうすぐ死ぬんだ」とベッドに臥せていた少年は、生まれて初めて外の世界に触れる。
息づく命の美しさに目を輝かせながら、生まれたての子羊とともに、車椅子から一歩を踏み出す。

大切なものを失った3人が孤独のトンネルから光を見つけるまで。
生と死と、春の訪れを噛みしめる、今の季節にぴったりの物語でした。

「おじ様は初めて笑い、私は泣くことを知った。花園はいつも開いている、そして力強く生きる。私たちの世界は愛の花園なのだ。」



( ..)φ

「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」のルパートくんがお母さんと10回以上観たという映画「秘密の花園」。
二本とも孤独との向き合い方をお手本のように示してくれる。
すごくよかったなぁ、好きな映画がまた一つ増えたよ。
ルパートくん、教えてくれてありがとう。
ろ