Genichiro

時をかける少女のGenichiroのレビュー・感想・評価

時をかける少女(1983年製作の映画)
4.7
2回目鑑賞。デンデケデケデケ見るしついでにこれも見直すか、くらいの軽い気持ちで見たけどまた言いようの無い切なさでとんでもない気持ちになった。何回見ても色褪せないのは感動だけではない。この映画は危ない。危うい甘美さで満ちている。今作を見ていると青春のある時期に人生は決定づけられてしまって、それは覆すことのできないものかのように感じてしまう。もちろん一面ではそういう部分はあるのだが、決して現実は単純にできているものではないと誰しも理解しているはず。しかしこの映画の閉じた世界の中では他の視点など存在しないかのように思ってしまう。最近よく使われる言葉でいうなら「呪い」とかそういったものに近い。全編どこを切り取っても甘いノスタルジーたっぷりのこの作品を見ていると人生の複雑さについて考えずにいつまでもこの空気に浸っていたいと思ってしまう。終盤の展開の残酷さも痛々しくて、甘美な魅力に満ちている。深町なんてことしてくれるんや。しかしそれが一気に反転するエンドロールに胸が爆発しそうになる。このエンドロールがなければなんてつらい映画だろうか。しかしこのエンドロールがあるからこそ、今作が原田知世のアイドル映画であるからこそ素晴らしい作品であると胸を張って言い切ることができる。
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